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AUGUST SANDER

「AUGUST SANDER PEOPLE OF THE 20TH CENTURY」。
ドイツの人物写真家「アウグスト・ザンダー」がこの世に残した渾身のポートレート写真集。
アウグスト・ザンダーは1867年にドイツで生まれ、鉱夫として働いた後に兵役に服し、そこで写真家助手の任務に就きました。
そこでの経験から写真撮影の技術を学び、兵役の後はドレスデンで1年間絵画を学び芸術的基礎を身につけたのです。
その後自分のスタジオ持つまでに至り、数々の賞を獲得するなど写真家としての成功を収めていました。
しかし、こうした成功にも彼は心から満足することができず、写真史上最も挑戦的とも思われるプロジェクトを思いついたのです。
それは、煉瓦職人・狩猟場の管理人・菓子屋の店主・学生・役人・実業家などなど、ドイツの社会を構成しているあらゆる職業、民族、階級の人々のポートレートを撮り、一つ一つ標本のように分類した記録を作るという事でした。
この方法論のプロジェクトを並みのアーティストが取り組んでいたら、退屈極まりない人物写真カタログになっていたかもしれませんが、アウグスト・ザンダーはとても優れた写真家でした。
目の前にいる被写体の表情、ジェスチャー、姿勢、服装、動作、生まれ育った環境を捉える感覚はザンダーの感受性にしかなし得ない的確なものでした。
それらの写真は、それぞれの職業に従事する人々の一般的なイメージだけでなく、内面の表情までも伝えています。
彼はプロの肖像写真家であるにも関わらず、撮影を依頼した多くの人々から報酬を受け取っていません。
経済的に払えなかった人ももちろんいるでしょうが、余裕のある人からもお金は受け取らなかったと言われています。
彼が、このプロジェクトであらゆる身分や階級の被写体一人一人の個性を、ありのままの自然な姿で表現できたのには、
そうした仕事としての利害関係が一切なかった背景があってこその物だと思います。
残念ながら、このザンダーの試みはナチスによって一時中断を余儀なくされ、生前にまとまった形でこのポートレート写真集は発表できなかったのですが、息子のギュンターが彼の意思を引き継ぎ、1980年に写真集が刊行されました。
そして今回紹介しているこの本は、2002年に出版された未発表作を含む全7巻をまとめた渾身のポートレート写真集です。
この本がなぜファッション的にも良いのかというと、その時代のありのままの自然な姿が記録されているから。
当時のリアルなウェアを身に纏った様々な人々を見る事が出来る。
ジャケットのシルエット、ラペルの形、ポケットの付き方などなど、
この本は、どんなファッションデザイナーも一冊は持ってると言っても良いくらい、デザインソースに使われているど定番の本なんです。
どんなモノにも昔があって今がある。
「温故知新」という言葉、古きを訪ねて新しきを知るという事、とても大切な事だと思います。
店頭に置いてますので興味のある方は、是非一度ご覧になられて下さい。



Work Of Art ! 2

Work Of Art ! 2 という事で、またまた尊敬する造形作家さん「Taro Tokuyama」の作品を紹介致します。
この作品のタイトルは
『 Tom Ford 』
名前の通りトム・フォードが表紙になっているスペインの雑誌を使った作品。
トム・フォードの顔の部分が数ページずつ切り抜かれていて、
これもまた木の年輪のように人間の内部を表現されている作品です。
しかも、雑誌の28号の数字に合わせてトム・フォードの顔部分が28層になっているんです。
さらに雑誌の見出しタイトルはトムフォードに対するタイトル『全てを大きくする男。』
今から新店舗を立ち上げ頑張っていこうという私たちに力をくれるとってもアーティスティックな作品ですね。
こちらも常に店舗にディスプレイしていますので、是非見にいらして下さい。
作家さんのHPで他の作品もご覧になってみて下さい。
造形作家 『 Taro Tokuyama 』